今日に至るまで、耳鳴りの治療にはさまざまな方法が行われてきました。例えば薬物療法、酸素療法、電気刺激や磁気刺激を用いる方法、あるいはマスカー療法などがそれにあたります。治療法の考え方としては、根本的に耳鳴りの減弱または消失を目指すものと、耳鳴りによる生活の影響度を改善(QOLを改善)することを目的とするものとに分かれます。現在では、必ずしも耳鳴りの完全な消失にこだわらず、後者の考え方に基づく治療法が主体となってきました。
その治療体系の基になった代表的な治療法がTRT(耳鳴り再訓練療法)と呼ばれる治療法です。
TRTは、①耳鳴りについての正しい理解を促すためのカウンセリング(指示的あるいは説明的カウンセリング)と②機器を使った音響療法の二つを組み合わせて行われます。音響療法に関しては、日本では音響的ノイズを発生させるサウンドジェネレーターがこれまで多用されてきましたが、最近ではTRTから治療体系化が発展進歩した結果、音響療法についてもさらに新しい考え方が登場してきました。
難聴の症状がない耳鳴りに対する音響療法
耳鳴りと異なる音源を用いて耳鳴りが気にならないように(耳鳴りに対する「順応」)することを目的とした医療機器(耳鳴り治療器)として、サウンドジェネレーターが使用されます。従来のサウンドジェネレーターは音響的ノイズのみでしたが、ワイデックスでは「ゼントーン」という新たな音を開発しました。ゼントーンは、音響的ノイズのみでは得られない「解放感」「沈静効果」といったリラクゼーション効果をもたらすことを期待した治療音です。このゼントーンとゼンノイズの両方を使用できるワイデックス「ゼンプログラム」は、耳鳴り治療のための新しいサウンドジェネレーター機能の提案です